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学生の投稿2024.04.05

FDTD法

FDTD法

FDTD法(時間領域差分法, Finite-difference time-domain)は電磁波をシミュレーションする手法である。マクスウェル方程式を離散化して、シミュレーション空間内の電場分布の時間発展を計算する。具体的には、マクスウェル方程式を空間、時間領域での差分方程式に展開する。実際のシミュレーションでは、計算領域をYee格子と呼ばれる単位格子で分割する。単位格子の様子を図1に示す。

図1. Yee格子の様子

 

この格子では、電場は格子のグリッドと重なっているが、磁場はグリッドから3次元方向に1/2だけずれた位置に存在する。イメージとしては電場を表現する格子と、磁場を表現する格子がずれた状態で重なっているような形が想像できる。空間中の電場の計算を時間ステップごとに行うことで、時間発展を仮想的に観測できる。

 



吸収境界条件

計算領域境界に光が到達すると、光は端面で反射し、シミュレーション空間にノイズを発生させる。その現象が起きないようにするためには、PML(Perfectly Matched Layer)吸収境界条件を設定する必要がある。シミュレーション空間内のすべての端面に設置することで、端面に来た光を十分に減衰させる。これにより、端面での反射がシミュレーションに反映されなくなる。PMLの様子を図2に示す。

図2. PML吸収境界条件

 



当研究室での応用例

光量子物性研究室では、超短パルス光源を用いたポンププローブ分光法により、超短時間領域における物質のダイナミクスを観測している。実験では解明できない部分について、FDTD法でアプローチを試みている。図3に、金ミラーを用いたキャビティモデルを設計し、中赤外パルスを入射させたときの透過スペクトルを示す。キャビティのファブリペローモードが発生している様子が確認できる。

 

図3. キャビティモデルと透過スペクトル



この記事を書いた人
植木 穂香 (M2)
Honoka Ueki

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